2010年7月7日水曜日

繭皿 Wooden Plate



 かつて上州の養蚕農家で使われたという、繭皿。一見まるで漆でも塗られているようだが、これは長い間に囲炉裏のススによっていぶされ続け、自然にコーティングされたもの。そのままにしておくと手が真っ黒になる。布と紙でしっかり乾拭きしてやると、だんだんと落ちついた。

 糸を出しはじめた蚕を、繭を作る場所へ移す際に、この木皿にのせて運んだそうなのだが、エッジのくっきりとしたその形状と炭の黒があいまって、産地も時代も判然としない不思議な雰囲気を醸し出している。



Wooden Plate - Used in a Silkworm Farm, Japan 20th century