2010年7月6日火曜日

オランダのやきもの Old Dutch Pottery



 有名なデルフトの藍絵や白のやきものとは趣の異なる、17世紀初頭のオランダの、茶色や緑の陶器。フェルメールと同時代の風俗画の片隅にも描かれているこれらのやきものは、そのみかけから想像がつくように、やはり庶民の生活の中で使われたものらしい。

 デルフト陶の白色は、鉛をベースにした釉薬に錫を混ぜることで作られているけれど、より安価なこういったものの場合は、装飾的に美しい効果を得られる錫の分のコストを減らして、鉛だけを使った透明な釉を、鉄分の多い生地にそのまま掛けて焼かれている‥筒型のほうは、内側にしか釉を掛けていない。緑のものは鉛釉に銅を混ぜたもので、これは床タイルなどにも見ることができる。

 それにしても、柳宗悦と民藝の先達以来、さんざん語られていることではあるけれど、これらのやきものの出自とはうらはらの、この立派さはどうだろう。取手付きのものは、リーチがお手本にした英国中世陶と同様の強さと存在感を持っているし、クリーム‥軟膏などを容れたらしいカップの、単純にろくろで引きあげられたずん胴のボディーから端反りになった口もとへ連なるフォルムは、簡素の極地ながらこのうえなく美しい。
 

Bowl with Handle, Cream Bottle, The Netherlands 17th century