2010年7月6日火曜日

オランダのやきもの 2 Old Dutch Pottery 2



 オランダをはじめヨーロッパのやきもののルーツはそもそもイスラム圏にあって、イスラム勢力のイベリア半島進出とともに、その技術も西欧へもたらされた。モスクを飾るタイルなどは、その代表といえるかもしれない。
 はじめイスパノ・モレスクといわれたイベリア産の陶器が、スペインのマヨルカ‥マジョルカ島を経由して各地へ輸出されたため、マヨルカ‥マジョルカと呼ばれるようになったのは、日本の有田で作られたものが唐津とか伊万里と通称されたことと似ている。
 マヨルカ‥マジョルカ陶は16世紀のイタリアで広く普及して、イタリア各地に窯が開かれている。オランダやベルギーなどへ渡ったのは、こうしたイタリアの職人たちだったらしい。

 この白いデルフトのお皿は17世紀初頭のもので、イタリアから伝わった当初の、オランダではマヨリカといわれる様式が強く残る。
 17世紀後半のものが器体全面を白い錫釉で覆っているのにくらべて、このお皿は表だけに錫を混ぜた釉を使い、裏面には錫を入れない鉛釉を施していて、高価な錫を節約しているのが窺える。
 器形としても、見込みに重ね焼きの際の目あとが残されていること、裏面が平らではなく高台が作られている点など、後年の作とのちがいが見てとれる。
 銀器から現代のボーンチャイナまで、ヨーロッパのテーブル・ウェアの基本ともいえるかたちは豊かで、たっぷりと掛けられた錫白釉の表情も眺めてあきることが無い。

 

Plate, Majolica - Delft Ware, The Netherlands 17th century

参考文献: The Edwin Van Drecht Collection - オランダ陶器 朝日新聞社 1995年