2011年1月6日木曜日

朽木 Kutsuki



 朽木‥くつきは琵琶湖西にあって、溝口健二監督の映画「雨月物語」に登場する、湖西の滅びた武家の姫様がたしか朽木氏の人だけれど、朽木の村は、古くからよい漆器をつくる木地師の集落があるとして知られていたらしい。

 朽木の漆器といえばまず、美しく細い線で菊の花が大きく描かれた盆があげられる。この片口‥酒上、ひあげともいって、祭礼のときなどに用いられる‥は、盆に描かれる菊花の半分が描かれていて、その豊かなかたちとも相まって、民藝というものの見本のように思われる魅力的なデザインとなっている。たとえば陶磁器などとはちがって劣化しやすい木のものだけに、よく残っていてくれたものだと思う。


Lacquerware, Kutsuki, Japan, Edo-period