2010年8月20日金曜日

高麗の瓶 A Crane In The Rain



 やきものの歴史上、しばしば最高峰といわれる中国・宋の青磁の影響を受けて産まれながら、本家である中国の人びとにさえ「翡色」として賞賛された高麗時代の青磁。
 朝鮮半島の青磁の、中国にはない独自の特徴が、薄い鉄分の混ざる生地を彫り、そこに白い土と、生地より濃い鉄を含む土を埋めこむことで白と黒からなる模様を表す、象嵌という技法だ。

 この高麗青磁の絵模様として代表的なものが、綿飴のような雲が浮かぶ中を鶴が舞うように飛ぶ雲鶴図なのだが、この小瓶‥徳利に見えるけれど、高さは10cmほどしかない‥のモチーフは、鶴と、雨。蒸し暑い雨模様がつづく季節、眺めれば少しだけしっとりとした気分にさせてくれる。
 口が欠けているが、金や銀で繕ってしまうと立派になりすぎて自分の部屋にそぐわない気がして、そのまま直さずにいる。 


Bottle, Celadon, Korea Koryŏ dynasty, 13th century